これ分かってないとマズいよ「アルゴリズム・AIを疑う」

 いかにも流行に乗っかってる感じがする書名ですが、
「疑う」のはとても大切な行動だと私は思っています。

何に関しても批判的に物事を見るのは大切なことで、
何でもかんでも鵜呑み(うのみ)にしてしまうのは大人になればなるほど戒めるべき行為だと思います。

さて、書名にある「アルゴリズム」とは、
「入力」に対して必ず一定の「出力」を輩出することで、
身近なものだと自動販売機もアルゴリズムで動いてますし、
数学の計算なんてアルゴリズムそのものですね。

それが、インターネット上では
Googleの検索結果であったり、
ネットをうろうろしている時に出てくるバナー広告なんかに使われているんですね。

私は何も気にせず、ネットでこれらを使ったり見たりしていたのですが、
ネットのアルゴリズムの場合は、
Googleであったり、通販サイトであったりの運営者の意図が介在していて、
「我々は誘導されているんだよ」と指摘したのがこの本の胆(きも)ではないかと思います。

ネットがここまで成長してしまったいま、
最早、運営者の意図の排除はできないので、
大切なことは「意図が介在している」と認識することが肝要であると本書は教えてくれます。

そんな訳で、
私がとった行動は「YahooやGoogleのニュースはもう見ない」で、
大手新聞社2社(保守系とリベラル系)をメインに見つつ、
ウォールストリートジャーナルで外国情報を収集という作戦を立てて、
実際にこの夏からスタートしてみました。

今まで見えなかった世界が広がる感じで、
出だしとしてとても満足してます。
一年続けることでどう変わるか、とても楽しみです。

また、タイトルにあるAIに関してはアルゴリズムに比べると少なめの論述で、
しかもAIのことを、
「過去のジャンク・フードのおいしいところだけ集めて合成した究極のジャンク・フードかも」(P.224)とLLM(大規模言語モデル)を誤解されている表現がなされており、
私は「ジャンク・フードだけ」なんてことはなく、「超高級料理からジャンク・フード、なんなら、食べ残しみたいなものまで、上から下まで全部合成した究極のフード」と考えてますので、この点は私と相容れませんでした。
著者はメディアの専門家なので、
「コンテンツ込みメディア」という従来にない技術「AI」に関してはこういう理解にとどまってしまったのかもしれません。

しかし、本書の大半はアルゴリズムの見えない部分、
つまり「ブラックボックス」への警鐘であり、
本当の意味でのメディアリテラシーへの大きな一助になる好著であると思います。

惜しいのは索引が付いてないこと!
エコーチェンバーとかフィルターバブルとか社会的ブラックボックスとか、
「何だったっけ?!」ってことが何回もあったので、
個人的には索引がとても欲しかったです。

でも、そこを差し引いても大変有益な本であることに変わりはありません。
現代に生きてネットでうろうろする人なら、
一度読んでおくべき本だと思います。

「知っている」ことの大切さを痛感できること請け合いです。

宇田川敦史著
集英社
2025年

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