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うまく生きたいのなら「孟子」

  「孟子」は紀元前に中国に実在した人物の名前であり、 書物の名前でもあります。 今回はそんな書物「孟子」についてです。 中学生が国語で学ぶ「論語」という本がありますが、 あの系統の本です。 このグループは昔から「四書五経」とよばれています。 全部で九冊(四冊の書、五冊の経)の本がグループの中に存在していて、 「できればこの順番で読んだ方が学び易い」という読む順番まで存在しています。 「孟子」はその「四書」の中の一冊で、 推奨されている四書の読む順は 「大学→論語→孟子→中庸(ちゅうよう)」と言われています。 念のため、私もこの順番通りに進んできて、 やっと3冊目終了です。 孟子の中で論語の話題が出てくることがあり、 読む順番がこういう所に活きてくるのかと考えさせられました。 内容は道徳のハードモードとでも言えばいいのでしょうか。 「人の嫌がることをしない」のような よく耳にする言葉の出所が孟子だと解って、 中国古典哲学の偉大さを改めて思い知りました。 孟子は「性善説(人は産まれながらに善人であるという考え方)」を唱えていて、 私個人も同様に考えていますので、 非常に馴染みが良かったです。 当然、反対の考え方「性悪説」もありますが、 こっちの考え方の人は相当に読みにくい本なのではないかと思います。 性善なのか、性悪なのか、 答えはないのですが、 性善と信じた方が世の中を生きやすいと感じてます。 性善説を学びたい方は是非ご一読を。 間違いのない一冊でございます。 小林勝人訳・注 岩波書店 1968年刊

エッセイの源流だ「エセー」

  「エッセイ」というジャンルがあります。 日本語では「随筆」と訳します。 このエッセイという言葉の元となった作品が今作「エセー」です。 古い作品です。 本国フランスでの初版は1580年です。 江戸時代が1603年からなので、 いかに古いかが分かるかと思います。 また、大作です。 岩波文庫で読んだのですが全六巻でした。 マンガではないので活字本の六巻は中々に手強いです。 しかし、全巻読破した後の清々しさは人生の宝物です。 肝心の中身はといいますと 作者モンテーニュが思うままにつらつらと、 主題毎に思うところをまとめるスタイルです。 ただ、その主題が人生の根っこに関わる重いものばかりで、 学んでも学んでも追いつきません。 上で「思うところ」とは書きましたが、 モンテーニュ自身がとんでもない読書家で その「思うところ」が哲学者裸足の意見です。 ちょっとやそっとの人間では刃向かうことができない聖人ぶり。 しかも人間としての生活をしっかり見据えての聖人なので、 よくある「隠遁しないと無理」ってタイプの聖者ではありません。 引き合いに出されるのが ソクラテス、プラトン、アウグスティヌス、セネカなどのお歴々やギリシャ神話。 こんなのたまったもんではありません。 モンテーニュは「借り物の意見」という風に述べますが、 賢者達の意見を否定することもためらわず、 しっかり自身の意見に昇華させています。 「こんな人がかつて生きていたのか」とため息が出ます。 こうありたいと思いながら、 今の自分を省みて恥じ入るばかり。 でも、それでこそ人生。 少しでもモンテーニュに近づこうとあがいていきたい所存です。 モンテーニュ著 原二郎訳 岩波書店 1965年刊